映像表現研究会

今注目の女性写真家
金 仁淑(キム・インスク)講演会

2017年3月17日(金曜日)19:00~21:00
場所:クリエイティブネットワークセンター メビック扇町

この日、協業工房映像表現研究会のセミナーでプレゼンターを努めてくださったキム・インスクさんは写真というフォーマットだけに囚われず、様々な表現方法を駆使して活躍されている女性写真家でした。
ある時はビデオを使って、
またある時はインスタレーションとして立体構成を試みる。
ダイナミックかつ繊細な表現でした。
スライドショーで映し出される展覧会の様子を見ると実際にその場に足を運んでみたいと思わせる強い魅力がありました。

「自分の日常と同じ目線で作品を作り続けている。そこが面白い。」

と、映像表現研究会のリーダーである森山事務所の森山さんはキムさんの作品の魅力を紹介しました。

家族と仲間のつながりや人生の一コマを切り取った一枚一枚の写真はある種のプライベートフォトながら見る人の心をガッチリと掴みます。
そして写真で構成される時空間の中で次に私たちは自分たち家族や仲間に想いを馳せることになるのかもしれません。








今回は編集に6年間を要したというキムさんの結婚式のプライベートビデオやイデオロギーのない朝鮮学校での子どもたちの生活、東京・森美術館での展示会、ドイツ・デュッセルドルフでの展示会の様子などが紹介されました。
また韓国工芸デザイン振興院からの依頼だったというプロジェクトはユニークでした。
そのOryu中学校の「Korea Craft & Desgin Foundationの幸せな文化スペース造りプロジェクト」は2ヶ月で作って欲しいという超短納期で、こなさなければならない仕事も写真家の枠を遥かに超越したものでした。
内容は、
「そこまでするの?」
というコメントが発せられたほど。
そこでのキムさん役割は、写真家だけではありません。
建築家、デザイナー、内装業者、学芸員などの異なる仕事を同時にこなすというものでした。
様々な表現方法に精通した彼女だからこそ貫徹できたプロジェクトだったのかも知れません。

多彩な仕事をこなしている彼女ですが、これら作品に共通したテーマは家族と言っても良いかもしれません。そしてこれは在日韓国人というキムさん自身の生い立ちや文化的背景があってこその表現対象なのかもしれません。

「初め、私は韓国へ行くまでは自分は韓国人だと思っていました。でも向こうへ行ったら皆は自分を日本人だといいました。」

とキムさん。

日本と韓国。
この2つの文化に挟まれた思いや感情は、彼女の作品だけではなく映画や文学その他、多くのジャンルで感じとり、見ることができます。
しかし彼女の作品からはイデオロギーは感じられることはありません。
なぜなら「家族」や「仲間」を普遍的に捉えた時、それらは文化や政治的心情を越えた存在になるからだと。
彼女の講演は多くの人に様々な想いを抱かせたに違いありません。

1時間の講演の後、質疑応答。
その後は恒例の懇親会。
来年、東京で展覧会を開催する予定のキムさん。
その時に再び協業工房に招いて講演をしてもらおうという企画も立ち上がったステキなイベントとなりました。